朝早く起きて新幹線に飛び乗った。盛岡市文化振興事業団さんが毎年呼んでくれている盛岡でのお仕事。到着して打ち合せ即学校へ。
盛岡市内とは思えないぐらい山の中の小学校へ
5年生と6年生の合同授業。2学年合わせて17〜8人。みんな友達。だからこそお互いわかり合って最後まで言葉を言わないし、聞かない。話の途中でさえぎって早合点して次へ行こうとしちゃう。先生はそこらへんが心配らしい。
ジャンケンの色々なバリエーションで遊んで 、さて全身でジャンケンを・・・と思ったところで引っかかった。
色々な形のチョキの候補があがるのだが、割とみんながのって決まりかかった形を一部女子が反対する。アンケートをとると反対意見は一部なのだが、私はなんとなく多数決も嫌いだ。一人の女子がこっちが多いんだから従えという。私はそれもあんまりだと思う。だってそれならこの学校もなくなって良い事になっちゃうかもうよ?盛岡もなくしてみんな東京で良いべってことになっちゃうかもうよ?岩手もなくて良いべってことになっちゃうかもうよ?そう尋ねると一人の男の子が大きく嘆いた。「そんな、岩手は東北で二番目に大きいのに・・・!」
全員一瞬動きが止まる。え?二番目?じゃ一番は?
彼は誇らしげに「北海道!」と答える。
試しに東北六県を答えてもらうと
「北海道、岩手、青森、秋田、宮城・・・札幌!」
彼の顔は全部答えられた満足感で輝いている。女子からの「札幌は北海道の中にあるんじゃ・・・?」というツッコミも聞こえていない。しかし大人が良い顔をしていない事に気がついた彼は隣の男の子にも助けを求める。隣の男の子が札幌に県はつかないんじゃないかと言うとしばし考えた彼ははたと気付いて力強くこう言った。
「札幌道!」
何だかこんな話をしてる事が馬鹿馬鹿しくなるぐらい破壊力に満ちた彼の答えにうやむやになっていく。
ジャンケンは相変わらず平行線だ。そんな中こんな風にやったらどうだと一人で考えていた子を地元で演劇をしていてこの事業を手伝ってくれているくらもちさんが見つけてみんなに紹介してくれる。
なかなかキュートでコミカルでこれなら女の子たちものれそうだ。じゃこれで良い?ときくと反対意見が一名。
何とか決まりそうだっただけに全員ずっこける。
だがこの環境で反対意見を言う彼は素晴らしい。
どこら辺が嫌なのかと問うと「何でも良いです」と答えてしまうところが何とももったいないのだが、この年の子には確かに答えられる言葉は持ってないのかもしれないとも思うのだが、ここからが議論だし、ここからが大事なんだと思うが、彼にはその先を求められた事も、自分の中に言葉を探した事もないのだろう。
結局全身でジャンケンをする事はあきらめる。
彼らとはもう一度会う。その時に何を伝えられるかだなと肝に銘じる。